チェアのデザインは、本当に奥が深い ~機能性重視が正しいのか?~

2024年06月21日
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オフィス家具のチェアって、どの頻度で新しい商品が出てるって知っていますか?
日本のオフィスメーカーだけでも毎年、合わせると何十と新しいデザイン、新しい機能の商品が発売されます。
その中で長年続いている古くからある椅子もあります。
私の知っている古いオフィス家具でイメージすると。イームズのアルミナムは相当昔からあるイメージです。
少し、新しいとアーロンチェアになりますかね。アーロンチェアはイトーキがハーマンミラーの取扱店だったころ、よく原宿や神宮前のアパレルショップや、目黒通りの家具屋に営業に行き、取り扱ってほしいと営業した記憶があります。
いずれも、数十年前から多くの人に親しまれている商品になります。


左:イームズ アルミナムチェア 右:アーロンチェア

毎年の新しい商品に、古くからある優れたデザインの商品が戦いを挑んでは敗れていくシーンはよく見かける光景です。
私たち開周堂は長年オフィス家具を売ってきているので、オフィス家具の知識(特にイトーキのもの)はかなりあると自負していますが、どうしても、「デザイン」という目で見ると、長年扱っている私なんかは昔のチェアの良さに今のものは勝てないというような錯覚?に陥ります。

先日、イトーキの開発の方々が弊社にお越しになり、チェアについて様々なお話をしていただいたり、意見交換をさせていただきました。
開発の方々のチェアに関する思いや、様々な考えをお伺いして、こんないろいろなことを考えながら開発されているんだなと改めて感じました。もっともっと深く知る必要があると痛感しましたし、こういったことを営業に活かしていきたいと感じました。出来る限り、イトーキ開発の方の【思い】を皆さんに届けていきたいと思います。


スピーナチェア(2007年グッドデザイン金賞受賞)

それを行うにあたり、開周堂の営業を中心に会社を挙げて、現在のチェアのトレンドや実際の座り心地のいい椅子をチョイスすべく、様々な場所で勉強することにしました。
若手はこういったトレンドを採り入れるのが上手いなと感じる部分でもあります。
逆に私は、30年近くこういったものを見ていますが、自分が老け込んできたとは思っていないものの。最近はトレンドを上手く掴めていないと思う事もあります。

さて、そんな様々なデザインを感じているときに、最近お客様から海外ブランドの椅子の依頼をいただきました。
私は知らなかったのですが。座り方によって座面が傾く新感覚チェアでした。
現代の学習環境に最適な椅子ということで、レバーレスで体重移動によって9度の前傾をするチェアです。
また、スタッキングが平積みで4脚します。
100%リサイクルという点などは、現代のグリーン購入という点では非常に優れているものではあると思います。

しかし、日本のこういったスタッキングチェアは平積み8脚程度は当たり前。10脚とか12脚というものも出回っていることを考えると、機能面とかは日本に合わないのかな?と考えてしまいがちです。
そして、カラーの種類はあれど、とてもシンプルな見た目。
こういったことを考えると、推しづらくなります。
お客様から、どんなところが優れているの?という質問をいただいたのですが、自分でこのチェアに関してあまりメリットを見いだせず、リサイクルの部分とデザイン性が素晴らしいという事だけしか強調できませんでした。
実際に見てみると・・・。
イメージと違う。すっきりとしたデザインでいいですし、9度の前傾もいいと感じました。

それと同じことは、以前にもありました。
イトーキのレヴィチェアです。

実は現在、このコラムを書きながら座っているチェアになります。
最初、このチェアを見た時に感じたことは、「何かパッとしないな」ということです。
発売が2018年末ですので、もう5年ほど前になります。
その後も様々な商談がありましたが、自分から率先して提案や納品はしてこなかったです。

時は経ち。2023年、弊社の改修工事があった際に、会議室にこのチェアの革張りを導入することになりました。
最初は、あまり乗り気ではなかったのですが、社内の若手のレイアウト担当に推されて、重い腰を上げました。
すると、どうでしょう。


恰好良く見えます。デザイン的にもすっきりとして見えます。
もちろん座った感覚はしっくりきます。何より前傾出来るのが好きです。
第一印象で決めつけていた部分があって、後悔しましたし、勧めてくれたレイアウト担当に感謝しました。
今は、お客様にも提案させていただきますし、自分としてもとても気に入って座っています。

その時思ったのが、デザインもつい安全な方に選んでしまいそうになっている自分に気が付きました。食べ物の食わず嫌いというものに少し似ているかもしれません。空間提案をするにあたって、それではいけないと改めて感じた瞬間でした。

先日行われたオルガテックのイトーキブースで【J1890】の会議室提案に合わせた椅子として、
このレヴィチェアが装いを新たにして、展示されていました。
そこを見ても、シンプルなデザインでテーブルを引き立てるこのチェアの良さを改めて感じました。

毎年、新しいチェアがたくさん発売されます。
その中で、よりよいチェアを見定めて、千葉のお客様にご提案していくのが我々の使命です。
特に、昨今はオフィスの作り方一つで、生産性が上がったり、エンゲージメントが上昇したり、また人材の採用や定着に繋がったりする時代になりました。
私たちとしても、もっともっと利用者の方々の働くを支援すべく、いいご提案をしてまいります。
引き続き、どうぞご期待ください。