機械の確率と、人間の確率

2024年07月05日
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いろいろな場面で使われる【確率】

小学校の時に、A君、B君、C君、D君、E君の中から3人の委員を選ぶ場合、何通りありますか?
みたいな問題があったと思います。
ちょうど、先日、私の娘がこんな感じの問題が分からないと苦戦していました。
しかし、これはそれほど難しいものではないんです。
まずA君を選んだ場合で考えて、その中でB君が選ばれたとき・・・・・
とやっていくと、このような形になります

やり方を覚えれば、すぐに解けます。
娘も解けて喜んでいました。

私たちの仕事の中でも使われる【確率】

しかし、先日お客さんから、「プッシュボタン錠のキャビネットが開かなくなった」という問い合わせをいただきました。プッシュボタン錠は、下の写真のような構造になっています。
番号を押してあっていると、つまみを回すことが出来、それで解錠するタイプの錠前です。

お客さんに聞いたところ、番号が分からなくなってしまったとのことで、
どうにかすぐに開けたいとの依頼をいただきました。
本来ならば、どうしても開けたい時の為に、【非常解錠キー】というものを準備しています。
しかし、こちらは様々な手続きを経て納品するものになっているためすぐにお持ちできません。
さて、どのようにしようかと思案していたところ、お客様から設定したのは4桁らしいという情報を
いただきました。
そこで、考えました。何とか開けるために時間をかけてやってみるしかない!と
(※お客様立ち合いのもとで行いました)

確率的に出来ると思い、チャレンジした結果

このプッシュボタン錠、何桁でも自在に設定することが出来るため、桁数が分からなかった場合、無限?!の可能性があります。
しかし、4桁と分かっていれば何とかなるのではないか。。。
ただ、見ての通り押す場所は、1~0と#の全11通り(このプッシュボタン錠は押し順が関係ないので少し確率が減ります)
自分の頭の中で計算したところまあまあの可能性があるなと感じました。
1・2・3・4、1・2・3・5、1・2・3・6・・・・・・・・・・、1・2・3・#。
1と2と3を使う時の4桁で8通りあります。
際限ない、でもお客様にやりますよと言った手前、やっていくしかない。
4桁押しては開かなくてクリアして、また4桁押してはクリアして。
苦節20分、200回目くらいのトライで、開けることが出来ました。
どうやら4桁と分かっていても、330通りあるみたいです。

欲を出して、もう1台にチャレンジ!・・・・も

1台開いたものの、実はあと1台開けたいとのことで、出来て自信を持った私は、もう1台にトライすることにしました。
しかし、こちらは桁数も分かっていません。
1桁の可能性もあれば、11桁の可能性もある、それを考えると更に確率は半端ないです。
その場で頭で計算して、4桁よりは3倍~4倍時間がかかるかも
でも、ハマればもしかしたら、4桁の時くらいの時間で開けられるかも
いろいろな期待と不安を持った状態でトライしました。
懸命に40分くらいやりましたが、結局挫折しました。
「すいません、無理です。。」
淡い期待も空しく、解錠することはできませんでした。
結局後日、非常解錠キーで開放して、無事中身を取り出すことが出来ました。
後日調べてみると、確率は2046通りあるようでした。

普通の3桁の南京錠より全然大変です。

このように、こういったものは必ず確率で測れます。

これが、人の確率になると話は別

しかし、それが人対人になった場合、どうでしょうか?
私は何かと【じゃんけん】を多用します。
じゃんけんって勝と負けの2分の1の運ゲーと思っている人が多いと思います。(あいこの場合は、もう一回やると想定して)
確かに、全く見も知らない人とだと、かなりそれに近いものがあります。
しかし、初対面の人でも、小学生くらいだとじゃんけんのクセというのはみんな持っているものです。
私の三男が小学校5年生の時に少年野球のキャプテンをやっていた時の話です。
少年野球の試合は、試合開始前に先攻後攻をじゃんけんで決めます。やはり後攻を取った方が有利に進められるケースが多いので、じゃんけんで勝ったら後攻を選んでいました。そのじゃんけん、年間約30試合で、24勝したのです。
もともと、家ではじゃんけんの訓練をしていました。(真剣な話です)
家での食べ物の優劣を圧倒的にじゃんけんで決めるシーンが多かったのです。
食いしん坊の子供たちは、絶対に負けないといろいろと試行錯誤して臨んできました。

普段から相手のクセを盗めると

しかも普段から戦っている相手の場合、その勝つ確率は更に上がります。
相手の出すクセを理解して、自分の出し順を考えます。
先日も娘にじゃんけんをしようと持ち掛けました。
時々やっているので、乗ってきました。
娘も、私の性格を知っているので、適当なじゃんけんはしてきません。
しかし、頭を使います。
最近の傾向だと、最初の一手でのパーの確率が低いなと感じた私は、相手がチョキかグーと考えました。
そこで、どちらにも負けないグーを選択しました。
結果、娘がチョキを出し、私が勝ちました。

一回で決めようとしない(勝つ選択肢ではなく、負けない選択肢!)

ここでの考察として一番重要なのは、「自分が何を出す」ではなく、相手が何を出さない確率が高いかを考え、残りの2つに負けないものを出すという事です。大体の人は自分が何となくこれが勝ちやすいからというフィーリングで出したり、相手が何を出してきそうだから、それに勝つものを出すという場合が多いと思います。
しかし、勝手知ったる相手限定ではありますが、普段最初にこれ出さないなというのは感覚で見えてきます。その上で【負けない】ものを出すという感覚は実に重要と感じます。その上でこんな感覚でやっていると。見えてくるんです。次はほぼこれ出してくるな!という雰囲気が。
その場合は、思い切って勝つものを出す!
のではなく、それでも負けないものを出すんです。
そこで私は周囲にこう言っています。
【じゃんけん】は65%くらいの確率て勝てる!と。
数字的に少し大げさになりましたが、決して50%ではないと今でも確信しています。

機械の確率は、本当に正確!

熱く語ってしまいましたが、確率の問題っていうのは、人が介在するだけでこれだけ変わるものなのだなと思います。私たちの普段の行動も実は自分の中の頭で確率を考えて、より確率の高い方法を選択して行動しているんだなと思うと、機械の【確率】と人の【確率】って似ているようで、実際はかなり違うものなのだなと痛感します。
今回のようなロッカーやキャビネットのダイヤル錠やプッシュボタン錠は、番号が有限の為、こうやって頑張れば開いてしまうこともあります。本当に重要なものは、金庫やデジタルテンキー錠のついたものに入れておくことをお勧めします。これらは先ほどのものより1ケタ、2ケタ違うくらい精度の高い解錠確率になっていますので、安心です。
また、入退室のセキュリティなども、モノによって認証率等は異なってきます。これも機械の確率は上げれば上げるほど、セキュリティ性能は上がります。こういった物理セキュリティ面でお困りの方は、是非お声がけください。予算とセキュリティ性の高さに合わせて、様々なご提案をさせていただきます。
今回は、確率というところに焦点を当ててお話ししてきました。
少し、脱線も多く分かりづらい点もあったかと思いますが、ご容赦ください。
引き続き。開周堂ブログ開周堂コラムをよろしくお願いします。