桜の咲く時期になってきました。
卒業式シーズンです。
卒業式と言えば、涙、涙となることが多いですね。
ただ、今回の卒業式は少し毛色が違いました。
「卒業証書授与式、閉校式」という、それこそなかなか例を見ないものでした。
地方の過疎化の進んだ地域では、もしかしたらこういったこともちょこちょこ
あるのかもしれません。
ただ、ここは千葉市です。
数少ない人口増加を続けている都市です。
そこで行われた閉校式は、「稲附」と呼ばれる中学校、
千葉市立稲毛高等学校附属中学校です。
(以前、こちらのブログに、稲附の話題は載せましたので、こちらからご覧ください。)
その稲附が3月14日に、卒業式と閉校式を一緒に行いました。
卒業式は、非常に厳粛に行われ、来賓の教育委員会の方が褒めるくらいの素晴らしい式でした。
ただ、彼らは全員「稲毛高校」に進学するわけで、普通の中学生のように離れ離れになるわけでもなく、
進路も一緒であれば、クラス替えも内進生は高校2年生までは2クラスの中でのシャッフルなので、
ほぼ知り合い同士でクラスが決まります。
それでも、ざわつくこと一つなく、非常に静かな式だったと思います。
しかし、そこには生徒たちの1点の曇りがありました。
それは、この学校が閉校になることです。式の端々に「最後」というキーワードがふんだんに盛り込まれており
それが悲しさを増幅させました。もしかしたら、悲しさよりも虚しさのような感覚かもしれません。
彼らは、「ラスト」という十字架を背負った状態で3年間を過ごしたように、送辞からも答辞からも
聞こえてきました。
最初、それは中学生には非常に荷が重い、大人たちの押しつけのようなものと考えました。
「最後」という意味が分からないまま入った生徒が多かったと思います。
保護者の方々も、それがどういう意味なのかをはっきりと考えていた方は非常に少なかったのではないかともいます。
通常では、卒業式が終わると、まずは卒業生が退場するわけですが、今回は卒業生の退場という事もなく
「閉校式」が始まりました。卒業した人たちは退場させないのかな、と少し疑問に思いましたが、その理由は
あとでわかることになります。
稲毛附属中は、2007年に千葉県で初の併設中学校としてスタートしました。
1期生は80名の枠に1644名が応募する非常に狭き門でした。
それから、14年後の2021年入学生をもって募集を停止し、2022年から「稲毛国際中等教育学校」に変わりました。
これまた、千葉県で初めての中等教育学校ということで、期待されています。
そして、閉校式が始まりました。
校長先生の話、教育委員会の方の話、育友会の方の話と、ここまでは卒業式とほぼ同じ顔ぶれでした。
正直、粛々と会が進行して終わるのかな、と考えていましたが、それは大きく裏切られます。
その後回想が行われ、2007年から今までの過去の振り返りがありました。
そこに卒業生が登場しました。自分たちの特徴を活かして。
そうです。稲附の生徒たちが切っても切り離せない「エイサー」です。
稲附の生徒たちは代々「エイサー」を踊ってきました。
それも先生や高校に進学した先輩たちに教えてもらって、飛翔祭で披露していました。
これは私も何回か見させていただきましたが、圧巻です。本当にすごいの一言です。
それを彷彿させる「三線」と「和太鼓」を使って回想していました。
その回想中、卒業生が涙を我慢して回想している風景は、こちらがもらい泣きしてしまうレベルでした。
また彼らのもう一つの伝統「WE ARE THE WORLD」の合唱を卒業生たちが披露しました。
80人のハーモニーが非常に良く、聞き入ってしまいました。
英語のカリキュラムが多い稲附ならではの伝統だったのですね。
実はこの曲、私が稲毛高校1年の時クラス全員で合唱した曲でした。
稲毛の大いなる伝統かと思います。
この伝統「エイサー」の演舞、「WE ARE THE WORLD」の合唱は今年でピリオドということで、
非常に残念に思います。
今回、卒業式終わりまでは、この伝統残せばいいのにとずっと思っていました。
ただ、彼らがこういった形で閉校式に参加して最後行う事で、いい形でのけじめを自分たちでつけました。
これでよかったのかもと感じました。
そして閉校式も終わって卒業生退場時、彼らが心なしか凛々しく見えました。
こういう経験って、なかなか出来るものではないものですね。
この式の中で一つ違和感を感じたのは、最後に校歌斉唱の場所で稲国の在校生がこぞって
歌詞カード?を見ていたことです。
我々の時代、校歌というのは、嫌というほど練習し目をつぶっても歌えるようにみたいな
風習がありました。今はそういう感じではないのかなと感じた一方で、
もしかしたら、稲附が今年で終わり稲毛高校もあと3年で終わりという事で、
稲毛国際中等教育学校になったら、校歌を変更するのかなとも感じました。
実はあの校歌、私が在校生時代に音楽の担当だった先生が作曲した校歌です。
なかなか授業を教えている音楽の先生が校歌の作曲をすることっていうのはとてもレアなのでは
ないかと感じます。
いずれにしても、千葉市にとっても大きな試みの中等教育学校。
「高い志を持ち、幅広い教養を身に付け、未来を切り開いていく生徒」
というコンセプトでスタートして、3年目になります。
そのために、現在校舎の改修工事を行っています。
1年後くらいには新しい校舎での授業もスタートするようなので、変わっていく姿を
卒業生として、また卒業生の親として見守っていきたいと思っています。
いよいよこの動きが本格化していきますが、是非、千葉市を背負って立つような
人材がたくさん生まれてくれることを千葉市民として祈念しています。
今は3年後、稲毛高校の閉校式はどういう演出をしてくれるのか、見たいような見たくないような気持ちです。
今回は千葉市のネタ。特にかなり狭いな部分に焦点を当てました。
また、来週以降普通のブログに戻りますので、今後ともよろしくお願いします。